日本は、ヤバいよ、ヤバいよ!

これからはデジタル開発とデジタル製造が融合し、まさにデジタルツインの世界に向かうものと思われます。デジタル開発とは単なるCADやCAEだけではなくそれらを融合し、さらに各種の「事実」を織り込み、仮想的な開発です。本田技術研究所の内田孝尚さんのお書きになった「バーチャル・エンジニアリング」は、最先端の開発手法に関して、詳細に書かれてます。ぜひお読みいただければと思います。

各種の特徴ある道路を詳細計測し、その道路を各種の走行条件で仮想的にクルマを走らせて走行性能を確認するなどです。基幹のシステムとしては、シーメンスのPLMとなるわけです。将来的には、自動車の認証はバーチャル・エンジニアリングのデータで提出する、デジタル認証になるといわれてます。欧州では、そのロードマップも示されてます。

内田さんの著書の副題の、「周回遅れの日本のものづくり」という意味合いをひしひしと感じるところです。

かつてCATIAが日本で普及し始めた頃の事です。機械系CAEの世界的大家の方で、現在は自動車会社グループの研究所長をされている方といろいろと雑談をしていた折、「高原さん、日本には基幹となる日本オリジナルのCADシステムがありませんが、これは由々しき事ですよ」と熱く語られてことを思い出しました。

私が所属しています埼玉工業大学では、加工中に物理的情報をモニターし、リアルタイム処理して不良を出さない加工法を研究されている先生もいます。足元からいろいろな知恵を出していくことも大切だと思います。

内田孝尚さんの「バーチャル・エンジニアリング」、自動車業界の方のみならず、製品開発にたずさわる方全般、さらにはこれからのデジタル・テクノロジーに関心のある方、広くお読みになるとよろしいと思います。

p137のトレーラーのスラローム走行の実車写真とバーチャルテスト画像の比較で、バーチャル認証がすぐそこに来ていると感じます。

日本はスリ合わせが得意な国でした。特に自動車は多数の部品の組み合わせで走行するものであり、スリ合わせ調整をいかに上手にこなすかで開発の優劣に差がありました。

しかし、時代は変わります。 第八章のスリアワセはバーチャルエンジニアリングで生まれ変わるはまさに、日本の優位性が崩れ、バーチャルを推進している欧州が先に行っていることを示しています、まさに、日本は周回遅れです。

というわけで、【博士の推薦本】に認定!