水素エネルギー社会(10)水素協議会 Hydrogen Council
今回の水素エネルギ社会に関する記事の締めくくりは、国際組織である「水素協議会」に関してです。
この協議会は、
2017年、ダボスで開催された世界経済フォーラムで発足し、成長を続けるこのCEOの連合体
と説明されています。
経産省のウエブサイトにも掲載があります。サマリー的な理解にちょうどいい内容です。
トヨタ自動車のプレスリリースでも何度か取り上げられています。たとえば、発足から1年で、参加企業が4倍になったことなどを伝えています。
さて、この組織体がユニークな点をまとめます。
まずはウエブサイトの言語です。国連関連のウエブサイトは、英語・フランス語・スペイン語・中国語が一般的です。しかし、この協議会は、英語・日本語・中国語・韓国語で言語対応しています。これからはアジアの時代という意味ではないでしょうが、この協議会のターゲットの地域と構成メンバを象徴していると感じてます。実は、この辺りにも、中国がFCV普及拡大とともに水素エネルギの方向に向かう伏線が見えていました。
表は、2019年9月時点での参画企業を私なりに整理したものです。
ステアリングメンバを私の着眼視点で色分けしました。赤字に示した企業は第一に注目すべき企業です。欧州の主要な重工業企業のエアバス、アルストム、テッセンクルップあるいはドイツのボッシュ、アジアでは、ヒュンダイ自動車と中国の石油企業のシノペックの参加が目につきました。
カーメーカでは、ヒュンダイの他、日本のトヨタ、以前からFCVを共同開発しているホンダとGMの両社、ドイツのAudi、BMW、ダイムラが参加しています。一方、日産をはじめとするフランス系やイタリア系は1社も参画していません。ディーゼル不正からの巻き返しをEVではかっているVWも参加していません。
水色は、エネルギ関連企業で、水素エネルギで拡大を狙う企業、石油からの転換を図る企業となっています。
サポーティングメンバーを見てみましょう。
青字のように、風力発電の際に話題にした日本の総合商社は軒並み参加しています。また、橙色で示した、Ballard、Hexagonの2社は、カナダ・アメリカの水素タンクの開発製造メーカです。
この協議会のFCV普及目標は、2030 年に 1,000-1,500万台、約10%の普及を狙ってます。
水素エネルギ社会に関する記事は、全10回で終了です。 お読みいただきありがとうございました。