3年に一度開催されている名古屋プラスチック工業展の取材レポートです。成形機メーカー10社ほどが実際に射出成型機を設置し、デモ成形することも大きな特徴となっています。
当社としては、カーボンニュートラルの視点(リサイクル)にフォーカスし、講演3件の聴講、各社ブースを見学してまいりました。まずは概要と聴講した講演2件のご報告です。
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来場者は前回2021年の1.7倍
3年に一度開催されている名古屋プラスチック工業展(主催:中部プラスチック連合会、中部日本プラスチック製品工業協会、日刊工業新聞社)が、11月20日から22日までポートメッセなごやにて開催されました。
3日間の入場者数は17,170名と、新型コロナの影響が残った前回2021年の10,036名から大幅に増加しています。実際、前回は見かけなかった地元企業のユニフォームを着用した見学者や、数名でのグループ見学なども多数見かけました。
展示会テーマは『プラスチックが創る、サステナブルな未来へ。』である。このテーマが示すように、本稿では、サーキュラーエコノミーやリサイクルを中心に調査しました。
サステナブル、環境に関する特別講演
『自動車プラスチック部品の適用動向と環境への取り組み』
日産自動車エキスパートリーダーの水谷篤氏による講演です。日産におけるエキスパートリーダーとはその分野の実務トップです。すなわちプラスチック成形技術部門の実務トップの方となります。
まずは、日産として長年取り組んできた樹脂活用の歴史から、最新の広州モーターショーでの注目車両などまで広く報告されてました。
日産のサステナブルな樹脂活用取り組み例として、金型表面に特殊コートを採用することで、コンパクト車NOTE内装での塗装レス化の実績の紹介がありました。金型シボと成形品光沢感の関係性の研究(プラスチック成形加工学会 第26回秋季大会で発表)など、大学との基礎研究を基にした実用化です。
講演最後の、「サーキュラーエコノミー・カーボンニュートラルは自動車会社個社で取り組むにはあまりにも大きい課題である」との言葉が印象に残りました。
『三菱ケミカルグループのサステナビリティに関する取り組み』
三菱ケミカルグループ サステナビリティ企画部部長兼 コーポレート・サステナビリティ部長の坂田智也氏による講演です。
講演直前にニュースリリースされた「KAITEKI Vision 35」に関して詳細なご説明がありました。KAITEKI Vision 30の5つの重要社会課題を踏襲する形で注力事業領域を紹介していましたが、より踏み込みかつ広範囲の取り組みが感じたところです。
たとえば、『グリーン・ケミカルの安定供給基盤』『環境配慮型モビリティ』といった表現です。
同社は、すでに自動車関連分野でも手広く実用化および研究開発に取り組んでいます。植物由来バイオエンジニアリングプラスチック材料DURABIO™の車載用途の拡大、廃車から回収したリアランプカバーのPMMAをマイクロ波によりケミカルリサイクルし、自動車材料に再利用などは広く知られてます。廃プラのケミカルリサイクル、つまり油化の技術で原料ナフサに戻すという取り組みは、極めてハードルは高いと推察しますが本質的な技術であり、今後も注目していきたいテーマです。
先進的な開発、経済性に課題がある検討ほど、他社協業となっていますがこれは当然のアプローチです。日産の講演の最後の「個社取り組みのハードルの高さ」とも通じるところです。競合他社との連携、ビジネスチェーンの上流から下流までの協業による推進加速こそ、日本の新たな国際競争力につながるものと強く期待しています。
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