トヨタとサムスンの違い(4)

あきらかな違いは業務指揮系統です。トヨタはピラミッド型、サムスンは垂直統合型です。なお、もう一社経験した自動車メーカA社は文鎮型でした。3社を比較すると図のようになります。

なお、トヨタとサムスンの差というだけでなく、日本と韓国との差、あるいは日本とその他の差という印象も持っています。

図に示す形態はそのまま企業の運営、あるいは職場の雰囲気につながってます。

トヨタは情報伝達に多少時間を要します。一方、隣の組織や関連部署との連携は比較的自由に生じています。

サムスンでの情報伝達は極めて迅速です。組織としては、横との連携はほぼ皆無、もっぱら上に向かっての報告であり上からの指示です。ちなみに、サムスンの方から聞いた情報ですが、この状況はヒュンダイはもっと厳格であるとのことです。上の指示は絶対であるという雰囲気の醸成は、徴兵制の影響と聞いたこともありますが、どうでしょうか。欧米の会社に勤務したことはありませんが、出張の際や話を聞いた雰囲気として、比較的この垂直統合型に近いように感じています。

A自動車では、トヨタ時代と比較しながら勤務していました。実におもしろい経験ができました。自由闊達で、ある意味、バラバラです。ただ、横並びの中には、かなりシャープな発想をする方もいて、その発想の提案はいったん会社に受け入れられると自らが責任者として実行に移せる状況でした。表現は適切でないかもしれませんが、ぼーっとさぼって過ごすこともできれば、どんどんとチャレンジもできる組織形態です。ただ、上の人の立場から見ると組織運営は大変なようです。

トヨタは、社内教育で比較的均一な人材に育ちますので、上司から見ると極めて運営が容易です。なお、それ故に、社外に出向や転籍した場合、メンバーが動かないとい悩みを抱えることとなります。

サムスンは上からの指示は絶対ですので、上司から見て指揮命令は容易です。さらに極めて優秀な人材の集まりですので、命令への対応もレベルの高いものです。

サムスンもA自動車も個人商店です。情報やノウハウは属人的となり、極端な場合は担当者が退社すると業務が停滞する場合もあるようです。一方のトヨタはピラミッド構成の各組織に情報が残るという特徴がありました。