【展示会】名古屋プラスチック工業展2021 JSW 株式会社日本製鋼所
9月29日~10月1日、ポートメッセなごやで、3年に一度の名古屋プラスチック工業展が開催されました。29日30日の二日間参加しましたので見学内容のトピックスや特別講演視聴内容などを数回に分けてレポートします。
物理発泡成形技術SOFIT
高圧ガスボンベを直結するオリジナルの発泡成形法でデモ成形していた。
デモとしてはバイオプラの成形であり、また成形品サンプルとしては帝人の協力ということでプラネックスやパンライトによる成形品が展示してあった。基本的には一般的な汎用性の高い物理発泡成形法である。よって、樹脂種別に限定されることはない。経験的にはエンプラ系樹脂のほうが効果が高く、細かい気泡で発泡倍率も高く、ガス抜け痕(スワローマーク)も目立ちにくい、ナイロンやGF強化PPSで良好な結果を得たとのご説明であった。ガス種も窒素の他、炭酸ガスも使用可能である。成形法も、ショートショット法・コアバック法のいずれでもよく、カウンタープレッシャー法(ガス抜け痕を抑止するために型内に高圧ガスを導入する方法)により表面品質確保が可能である。30%程度の発泡も可能で新しい軽量化技術として注目できる。
現状450トン級、成形品重量で1kg程度までの成形機が提供可能である。
スクリュー・シリンダおよび高圧ガス供給の設計が開発のミソとの印象を得た。発泡技術としてはマクセル・京都大学大島研究室との協業である。
ご許可のもと、デモ成形機を撮影した。
成形条件自動修正システム M-Navi
AIを活用することで成形不良を未然防止するシステムである。
初期の成形条件を人間が教えることで、たとえばAIが3000ショット等自動成形し学習する。良否判別の特性値を、検査データと紐づけ、また特性値の良品範囲を指定することで不良を抑止した連続成形が可能となる。検査データとして重量やバリの画像判定データなどの自動取得デジタルデータを活用できる場合は当初からの無人化が可能である。一方、属人的判断が必要な検査特性値に関しては、学習が完了するまでは人的対応が必要と推定する。成形履歴トレンドをAIが予測し自動的に成形条件を修正することが最大のポイントである。無人で良品だけを成形し続けることが可能となる。
デジタルツインの定義にもよるが、ある種のデジタルツインのカテゴリに属するものと考える。
ご許可のもと、デモ成形機を撮影した。
バッテリ駆動射出成形機
カーボンニュートラルに対するソリュ―ションとして参考出展されていた。竪型小型電動射出成形機に蓄電池を併設することで、蓄電池電力での運転が可能となるシステムである。再生可能エネルギによる電力で蓄電池を充電することで、カーボンニュートラルでの成形が可能となる。
ご許可のもと、デモ成形機を撮影した。