N-PLUS2022 開催概要と空飛ぶクルマのセミナー報告
先週(2022年2月2日~4日)、東京ビッグサイトで開催されたN-PLUSを取材しました。
あいにくと、新型コロナ感染症対応の蔓延防止が発令されており参加者数も限定されてしまったようです。(表は、事務局の速報値) 会場マップ上も数か所の抜けがあり、急遽出展を見合わせた状況も示唆されます。開催セミナー数が約35開催されており、多数聴講している状況でした。
数回に分けて、見学・聴講内容をブログに掲載します。
複数の展示会で構成されていますが、メインはフライングカーテクノロジーです
まずは初日冒頭のセミナー聴講からの報告です。
最も目玉のセミナーと推察されるのは空飛ぶクルマに関する集合セミナーでした。
フライングカーテクノロジー実行委員長、慶応義塾大学大学院の中野冠教授が開発の最前線をご報告の後、日本のスタートアップ2社の(株)SkyDriveの福澤知浩社長、テトラ・アビエーション(株)の中井佑社長から、それぞれの会社の特徴と狙いや現状の報告があり、その後、中野教授の進行でのパネルディスカッションとなりました。
中野教授からは、
『空飛ぶクルマの開発最前線』
まずは主要なグローバル企業のご説明がありました。この件は別途リサーチしリポートする予定です。
普及台数としては Lufthansa Innovation Hubのデータを引用し以下のようにご説明されていました。
2020年代 1万台以下
2030年代 20万台
2040年代 800万台
2050年代 6000万台
本格普及はだいぶ先のようです。用途としては、タクシー、個人所有、公共活用、レジャー観光で、比較的早期の期待は、
①遊覧飛行(海辺、気候安定な瀬戸内海を例示)
②救急(ドクターヘリ補完)
③富裕層
④大阪万博
一方で課題としては
①安全
②バッテリ能力
③飛行保障(天気に左右されにくい)
④社会受容性(安全性&上空通過)
⑤サイバーセキュリティ
⑥騒音
⑦風吹きおろし
⑧自動運転
⑨離着陸場
全体を俯瞰しての平易なご説明でした。
ついで、『空の移動革命への挑戦 ~日本発 空飛ぶクルマと物流ドローンの開発~』
(株)SkyDriveの福澤知浩社長からの講演です。
“100年に一度のMoblity革命を引き起こす“として、トヨタ自動車出身の福澤様中心の88人体制の会社です。母体は、当地中心の一般社団法人CARTIVATOR(現Dream-On Management)です。余談ですが、福澤様とはトヨタ自動車時代に同じ職場の時期がありました。
米中にはスタートアップが多数あり、日本初のスタートアップとなりたいとの抱負を述べられてました。
ビジネスとしては、
①企業からの運航受託
②個人保有機の運行
です。
この1月ラスベガスで開催されたCES2022にも出展しています。
開発ターゲットは1-2人乗りの小型機です。
以下の上段が同社の狙い、下段がJoby Aviation等のターゲットです。
1トン以下 2人乗り 5000万円 飛行距離10-50km
2.5トン 5人乗り 3億円以上 飛行距離200-250km
他に、比較的積載重量の大きい、本格的輸送を狙ったカーゴ・ドローンを平行開発しています。積載重量30kg、片道1km、自動運転です。
最後は、『空飛ぶクルマ(eVTOL)の最新動向と日本での展望』
テトラ・アビエーション(株)の中井社長からの講演です。
中井様の講演、2020年9月にも拝聴しております。
【展示会レポート】オートモーティブワールド@名古屋 講演;空飛ぶクルマ
「とにかく早く移動したい」をコンセプトに、2020年2月のアメリカでの賞金1000万円から始まってます。
開発目標は、一人乗り、飛行機状だが垂直離着陸、160km/hで1時間の飛行です。
アメリカでは軽飛行機を趣味にする人がたくさんいて、ある種のイベントには1万機も集まるということで、まずは、そこをターゲットとしています。写真の機体(Mk-5)は2022年度中に引き渡しを開始するとアナウンスされています。
*写真出典: 各社のウエブサイトより
各地での試験飛行も始まっており、大阪万博での試行運用も具体化してます。意外と近い存在になっているようです。