関西プラスチックジャパン2022 エンプラ/航空宇宙
ここまで関西プラスチックジャパン2022(主催:RX Japan株式会社)
をレポートしました。
今回は、エンジニアリングプラスチック材と航空宇宙への応用関連をレポートします。
エンジニアリングプラスチック
液晶樹脂/ENEOS液晶
SOLVAYの液晶樹脂(LCP)ザイダーをベースにしたコンパウンディング樹脂販売に関しての展示である。普段の筆者の成形部品の分野とは異なり、携帯電話内部に使用される微細な成形加工品が目に付いた。展示パネル右の写真の携帯電話のカメラ筐体部で高いシェアを占める。ピント調整のために前後に駆動するが、その際の万が一の樹脂屑発生を抑止するような材料として造り込まれている。スマホ内部のコネクタはほんの数mmの成形品で、写真に示すように500円玉と比較撮影した。寸法精度の高い液晶樹脂ならではの活用である。
ポリイミド UDテープ/三菱ガス化学
PEEKよりも結晶化温度が高く高耐熱熱可塑樹脂のポリイミドをマトリックスとしたUDテープである。高融点のポリイミドでUDテープを製作することに驚きを感じ、説明員の方にお尋ねしたが、やはりCFにマトリックスを一体化する際の加工などにはかなりハードルの高い開発とのご説明であった。主たる適用分野は宇宙分野関連である。
ポリイミド樹脂としては、低誘電率という特徴を生かし5G関連への展開を狙っている。LCPよりも銅との密着性が良い点を生かした活用が差別化点となる。
航空宇宙
宇宙航空分野のCFRP成形品/スーパーレジン
宇宙分野に実績が豊富なスーパーレジンのブースを見学した。写真は小惑星探査衛星「はやぶさ2」の模型であるが、この衛星に搭載された太陽電池パネルも同社製である。表裏のCFRPを成形し、その間にハニカム形状のアルミ部材を挟み込みように接着する。修理や交換が不可能な宇宙空間用途ということで、部材の精度や接着などに高度な信頼性が求められる。
凹面のパラボラアンテナも同様な構造である。実際に持たせていただいたが、いずれもきわめて軽量であった。
新世代軽量パイプKaleidφ(カレイド)(写真)はこの工法をパイプに応用したものとなる。重量半減、圧縮剛性1.8倍である。望遠鏡の鏡筒に実用化されており、持ち運びの利便性の向上が図られている。
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