K2022 Preview BASFプレゼン
2022年10月19日から26日までの8日間、
ドイツ デュッセルドルフにて3年おきに開催される
世界最大のプラスチック・ゴムの展示会
K2022が開催されます。
詳細各社プレゼンレポートの第1回目はBASFを取り上げます。
各社プレゼンの多くは、CEOや担当役員などによる全体説明から始まり、各テーマの責任役員・開発者による報告、最後にQ&Aとの流れです。
Q&Aはかなり活発で、欧州はもちろん東欧や中南米からのプレス取材者から多数の質問が出されます。
また、このK Previewと同期する形で各社からニュースリリースとしてプレス各社に送信されます。
BASFのプレゼンもこの流れでした。
以下は、同時配信されたニュースリリースです。
BASF presented our plastics journey at the K 2022 press conference of Messe Düsseldorf
BASF at K 2022: Accelerating the journey towards a sustainable future with plastics
前回レポートしたようにK2022のテーマが以下の3点であり、BASFの内容もこれに沿ったものでした。
冒頭で、K2022では以下のキーフレーズでプラスチックの循環経済をプレゼンのメインテーマとすることがアナウンスされました。
‘Plastic Journey’ (MAKE – USE – RECYCLE)
当然、自らの製造エネルギーも再生可能エネルギーへと切り替えることも重要なプレゼン内容となります。
写真のスライドでは、年次を追っての切換予定が示されています。
CO2排出量を、2030年までに25%削減、2050年までに実質的ゼロを達成するとしています。
プレゼンの中でキーポイントが2点ありました。
≪キーポイント①≫ 製品のCO2排出データの提供
BASFの約45,000の製品に対して、CO2排出量を計算するためのデータに基づいたデジタルアプリケーションを提供するとアナウンスしました。
カーボンフットプリントのバリューチェーンモデルとなります。
BASFのユーザーは、CO2ニュートラルをめざすためにプラスチックの製造方法や製品設計の視点での各種の検討に活用できます。
≪キーポイント②≫ Catena-X 産業界横断的なCO2バリューチェーン
ドイツ産業界横断的に温室効果ガス排出量をバリューチェーン全体で算出するというCatena-Xは大変にインパクトのある提案でした。
その後Catena-Xに関して調査しました。
副首相兼経済・気候保護相のハーベック氏がバックアップしているように、ドイツの国家的な取組みで、信頼あるオープンデータとしての温室効果ガス算出が可能となるシステムです。
注目すべきはその参画企業です。
写真はCatena-Xの概要のプレゼンスライドですが、自動車メーカーとしてはメルセデスベンツとフォルクスワーゲン、部品メーカーはボッシュとZF、材料メーカーBASFの他に、近年デジタル分野での取組みが突出しているシーメンスやSAPが参加しています。
ドイツ全体として次のイニシアチブを目指す意気込みが感じられます。
ハーベック副首相が緑の党出身であるといった環境への取組みの先進国であり、メルケル前首相が提案したインダストリ4.0といったデジタル技術が融合しての提案で具体性が高いように感じました。
Catena-Xに関してはロビーでもパネルで紹介していました。
なお、写真の中央に写っているズボンは、廃タイヤのリサイクル材で作られています。
具体的な効果例
いくつか環境対応の具体例が紹介されていました。
スライドの左端は、トヨタのシエナの3列目シートに採用された発泡ウレタンです。
この採用により重量を30%軽減するとともに15%のコストダウンの効果に繋がっています。
また、その他のウレタンの活用として、
住宅への適用での温室効果ガス削減例が示されていました。
1kgのPU製造では温室効果ガスを3.5kg放出しますが、
50年間の住宅断熱効果により3500kg削減されます。
メカニカルリサイクルの例として漁網から浴槽タイルに展開した例が紹介されました。
生分解樹脂Ecobioは農業用ポリマルチフィルムや食品梱包用途で活用後、コンポストで処理分解が可能です。
開催内容確認や入場券オンライン購入などは、以下からのアクセスが便利です。
次回はLANXESSのプレゼン内容をレポートします。