フランスの水素タンク企業 展示会レポート ~詳細版~
ここでは、一般公開しているレポート「水素エネルギー社会(41)フランスの水素タンク企業」に追記する形で、より詳細にレポート&解説します。
3月16日、東京ビッグサイトで開催されているスマートエネルギーWEEK/脱炭素経営/サーキュラーエコノミーEXPO(主催:RX Japan株式会社)を見学&取材しました。主催者発表で、出展社数1200社、予定来場者数5万人とかなりの規模です。
見学内容は、水素エネルギー社会の視点で、水素エネルギー発電、水素輸送、水素燃料自動車、そのためのCFRP高圧タンク関連を中心としました。
想定以上の有力な情報を収集することができました。
より詳しくは、以下の各セミナ―で講演しています。
ご興味ある内容がありましたら ぜひご聴講ください。
近日開催のセミナー&オンデマンドセミナー 「次世代モビリティ関連」
今回は フランスの高圧水素タンク企業の展示見学に対してのレポート・コメントです。
<Forvia>
最初のご紹介は、昨年の「人とくるまのテクノロジー展」の復習から。
水素エネルギー社会(35) 人とくるまのテクノロジー展2022から
先回のレポートの後半で今回も展示していたForvia(旧Faurecia)のタンクをレポートしています。
(FORVIA(フォルヴィア)とは、
フォルシア(Faurecia)とヘラー(HELLA)を統合した新ブランド名)
昨年、細長いタンクを展示していました。
このタンクは既にステランティスの商用バンに搭載されています。
このForviaからは、昨年よりもさらに細長いタンクを、
しかも集約配置してフラットに配列したシステムを展示していました。
7本のタンク間をパイプで連結してあり、水素ガスの出入り口は1か所です。
写真の日本のタンクのうち、下が昨年の展示タンク、上が今年追加で展示のタンクです。
次のイラストはForviaの高圧水素タンクの適用イメージです。
乗用車や商用バンでは、フラットに配列したタンク貯蔵システムとして搭載されています。
右下の商用バンは実用化済みで、オペル・シトロエンから発売されています。
中央の大型トラックも実用化済みで、Hyundaiが欧米に輸出しているXCIENTに搭載されています。
詳細は以下も参照してください。
水素エネルギー社会(35) 人とくるまのテクノロジー展2022から
水素エネルギー社会(18)水素社会への潮流
Forviaのブース内には、Symbioの展示もありました。
Symbioは上述した高圧タンク(&内装のグローバルサプライヤ)のFaureciaとタイヤのミシュランの合弁です。
フランスの世界的部品メーカ同士の合弁です。
SYMBIO=Faurecia + Michelin
Symbioは燃料電池システムの、受託開発・車載設計支援、そして製造企業です。
最近のサプライヤー、有力Tier1の戦略は、単なる製造に留まらず、車両メーカの設計開発から参入することです。
Tier1としてのプレゼンス向上と付加価値を上げる戦略です。
<Plastic Omnium>
同じようなコンセプトに見える細長いタンクの集合システムを
これまたフランス企業のプラスチックオムニウムも展示していました。
この辺が燃料電池自動車の新しい設計のシナリオに数字で来るものと思っています。
以下は展示されていたタンクです。
細長タイプ(写真上)と、従来一般的な寸胴タイプ(写真下)です。
TypeⅣ、R134認証取得、35ないし70MPaで、車載の定置貯蔵もターゲットです。
現在の生産拠点のベルギーに加えて、2024-25年からフランス、韓国、中国、北米でも生産を予定しています。
水素燃料自動車の新しい潮流については、各種の有料セミナーや個別の当社からのコンサルティングで解説をしています。
<欧州FCVをけん引するフランス>
フランスの大手の内装及び外装のシステムサプライヤーがそれぞれ1社ずつ出展していました。
私の認識では、プラスチックオムニウムは、フランスに本社がある外装の大手システムサプライヤーです。
Forviaの主体のFaureciaは、同じくフランスに本社がある内装の大手システムサプライヤーです。
プラスチックオムニウム本社を訪問した際に、
同社は元々ゴミ収集用のペール缶を大型射出したことに由来するとの説明を受けました。
Faureciaは、フランスの内装部品メーカのベルトランフォーレとエシアが合併し、新社名も両社の名前を合わせたFaureciaとなりました。
Faureciaはヘッドランプメーカであるヘラーを傘下に収め、今はForviaというブランドで活動しています。
いずれにしても、フランスベースのグローバルは内装及び外装のシステムサプライヤーのいずれもが、機能部品である圧力容器に進出し、同じ展示会で向かい合うような形で出展しているという点が非常に印象に残りました。
Faureciaのタンクを採用したステランティスもフランス由来の多国籍企業です。
その意味で、フランス系企業がFCVビジネスに注力しているように見て取れます。
日本では、水素燃料自動車の普及が停滞しているように見えますが、
一方、ヨーロッパではフランスを中心に一旦停滞していたFCVが再度復活しているように見受けられます。
そのような背景もあり、この2社がわざわざ日本の展示会に出展しているのかもしれません。
あるいは、フランス政府の施策もあるものかと推定しています。
各国政府は、モビリティをエネルギー政策と絡めて進めてきています。
ドイツのエンジン車復活、中国の新エネルギー車戦略、アメリカのバイデン政権のEV自国製造優遇がそれにあたります。
政府の施策が見えない日本とは大違いです。
<ドイツBMWからのFCV限定発売>
展示会の情報ではありませんが、BMWからは iX5 Hydrogenを2022年末から100台限定で試作することが発表されています。
一般の市販は数年先としています。
燃料電池のcell部分のみをToyotaから供給を受けています。
水素タンクは独自試作ないし調達と考えられます。
写真は、トヨタのブースに展示してあった、BMWの燃料電池スタックシステムです。
(内部のセルのみトヨタから供給。写真の右下の説明も「Fuel Cell」と記載あり)
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