ひずみや温度の光ファイバ計測法 その1
CFRPをはじめとした複合材料では、その現象・挙動解明のために活発に光ファイバ計測法が活用されています。
2021年の第12回 日本複合材料会議(JCCM-12,講演プログラム)でも数件の発表があり、当サイトでも聴講内容のサマリーを以下で紹介しています。
JCCM-12における、ファイバ計測法を活用した研究のいくつか
2022年のJCCM-13でも、上記研究をさらに進めたものなどが発表されています。
今回から数回に渡り、あまり一般的でない、「光ファイバ計測法」に関して解説します。
ー光ファイバ計測法の解説ー
光ファイバをセンサーとして利用することでひずみや温度変化の詳細計測が可能です。
光ファイバ計測法を解説します。
光ファイバそのものがセンサとして機能する計測方法で、ファイバ材料である石英ガラスの伸縮を物理的な変化量として計測するものです。
まずは光ファイバの原理を簡単に確認しましょう。光ファイバの構造を確認ください。石英ガラスのコア層、クラッド層と、保護のための被覆層の3層構造です。
図のように、入力した光はコア層とクラッド層の界面で反射しながらも損失することなく端末から出力されます。光ファイバで遠距離通信できる原理です。
光ファイバ計測法では反射で戻ってきた光信号を計測します。
基本的には光は通過しますので
(1)人工的に反射させるように加工した光ファイバ
あるいは
(2)界面反射の際のごくわずかな反射
を利用します。
(2)はファイバへの加工が不要ですが反射挙動は個々のファイバで異なりますのであらかじめ反射挙動を計測し記録する必要があります。
現在活用されている光ファイバ計測方法は、主にこのふたつの原理です。
それぞれ
(1)FBG法(Fiber Bragg Grating)
(2)OFDR法(Optical Frequency Domain Reflectometry)
です。
(1)の計測原理を説明します。
光ファイバに人工欠陥(Grating)を加工する際に数個の欠陥を等間隔で加工します。それぞれの欠陥での反射光が相互に干渉し変調する原理を利用します。Bragg回析と呼ぶ現象です。変調波長は人工欠陥の間隔と線形の関係にあります。したがって、変調した量を光ファイバの伸縮量に換算できます。
(2)の原理はかなり複雑です。
写真の逆さ富士が見える原理とも関連しますが、次回、詳細にご説明したいと思います。
次回はOHDR法に関して図を使って説明します。ひずみ量に変換する原理や、さらには温度変化が計測できる原理をご説明します。 それ以降も、具体的な計測のテクニックや数々の計測例なども連載の予定です。
▶ひずみや温度の光ファイバ計測法 その2 OFDR法
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