CFRPの3Dプリンタ 複合材料学会 オンライン大会から
第12回 日本複合材料会議
講演プログラム
今後活用が拡大すると期待している3Dプリンタに関して発表です。
3Dプリンタ関連の3件の報告です。
長繊維としてのプリントの際の、長繊維の軌跡自由度を上げるご研究、
最適化手法で検討した際に長繊維の連続性がない結果となることを防止する解析手法、
3Dプリントで発生しがちなボイドを低減する
という3件です。
さらなる詳細は、弊職が講師を務めるCFRP関連のセミナでのご紹介を予定しています。
2B-08
3Dプリンティングによる連続炭素繊維強化プラスチックの造形と有孔引張強度評価
白須圭一(東北大院),干川大和(東北大),山本晃平(東北大院),平田 泰久,岡部 朋永
長繊維3Dプリンターの代表格であるMarkforged製のプリントパス制約解消の試みです。
Pursa MK3Sを改良し実験しています。
[0/90]2Sの有孔引張試験片(Open Hole Tension: OHT )を試作しています。T300相当+PAを使用し、試験片プリント後に穿孔加工でOHT試験片としています。
実施内容は以下です。
- ①3Dプリンタ改造
- ②試験片試作
- ③X線CTで出来栄えチェック
- ④力学特性の計測評価
- ⑤FEMとの比較考察
FEMと実測はよく一致していると結論付けており、理論的なパスを再現できているようです。
試料したPursa MK3S(写真)は、安価(15万円)でかつオープンソースで多数の3Dプリント用のプログラムも共有されており、多面的に有用で基礎検討やアイデア確認実験にお勧めです。うちの事務所でも購入を考えてみたいと思ってます。
2B-10
ストークス流れに基づく3Dプリントc-CFRPの曲線繊維配向最適化
市原 稔紀(日大),上田 政人
CFRP最適化解析結果は、有限要素ごとに配向が示されるために、そのままのデータでは長繊維の3Dプリントは不可能です。
本研究は、繊維の連続性を考慮した最適化結果を出力するために、最適化解析にストークス流れの考え方を折り込みというユニークな着眼での検討です。
安定収束のための最適化手法の選定が味噌となっています。数十回程度から急激にひずみエネルギーが低下し(すなわち長繊維CFの最適化配置の効果が出てくる)100回目以降はそれほどの進展ない、就職しているグラフが示されていました。
2B-11
3Dプリンタ用短繊維炭素繊維フィラメントを用いた成形品の後加熱処理の検証最適化
呉工業高等専門学校 ○野波諒太 上岡真太郎 大和大学 山脇正雄
こちらは、短繊維材料での3Dプリントです。内容的には繊維長に依存しませんので広く活用できるでしょう。泥臭い内容ですが、その分応用も容易です。
3Dプリント時に生じるボイドで物性低下を引き起こすためボイドを除去する手法の研究です。3Dプリント品を、マトリックスが十分軟化する温度まで加熱し自然に脱泡させる着眼です。
観察でボイドが低減していること、引張試験強度が数十%から2倍程度向上していることを確認していました。
さらなる詳細は、弊職が講師を務めるCFRP関連のセミナでのご紹介を予定しています。
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