2021自技会 学術講演 トヨタ水素タンク

5月26日~28日 オンラインで開催された
「自動車技術会 春季学術講演会」に参加しました。

見慣れないマークだと思ってましたが、今年から学会のロゴが変更になってます。寺師会長の開会あいさつでもふれられていました。

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新型 FCV に向けた高圧水素タンクの開発 [#133]

トヨタ自動車 後藤荘吾・稲生隆嗣・上田将人・山下顕

昨年12月に発売された新ミライ開発における各種の工夫点、こだわりを聞くことができ、価値ある講演でした。印象深かった点を紹介いたします。
(図表は、前刷り報文からの引用です)

-3本タンクの特徴

サイズ違いの3本であるが、外径が統一してあります。
ライナ(炭素繊維を巻く土台、水素透過を抑止する機能あり)は3分割構成です。
両サイドのドーム形状部と中央部のシリンダ部に分かれていて、溶着で一体化させています。ドーム部の形状が同じということで設計等の検討負荷を下げる効果があったとのご報告でした。

-搭載の工夫

長い1本は、驚きの搭載設計ですが、センタートンネル部に設置しました。
一般的なタンクとでは配置方向が90度異なり、車両の加速・減速時の加速度対応が必要となり、タンクの口金部を利用した車体への締結構造を開発しています。

-生産性の向上

詳細のご紹介がありました。

1) FW加工機の改良

モータ等の基本構成部品の見直し(モータの分割による駆動部重量低減など)や、両端での折り返し停止時間短縮といった動作機構改善で、
 加速度1.5倍
 最高速度2.2倍
としています。

2)材料の見直し

より高強度剛性の炭素繊維の採用で総巻き数の削減(軽量化小型化にも寄与)
エポキシ材を見直し硬化時間も約1/3に短縮しています。

3)計測時間の短縮

新ミライの発表の際に生産性の向上も説明されており、自動計測により大幅な生産性の向上とされていましたが、詳細の内容が不明でしたが、今回の発表で、詳しい説明がありました。フィラメントテープの巻き状況は、従来は設備を停止して手動計測していましたが、高輝度光を照射し光の散乱で巻いたテープ位置を特定する手法の開発などで設備停止不要の自動計測を開発し測定時間90%低減を実現しています。

なお、この講演は、6月11日までオンデマンド視聴が可能です。(学術講演会への有料参加申込が必要です)

以下のブログもご参照ください。

水素エネルギ社会(23)トヨタの新型MIRAI