N-PLUS2024 パネル討議
10月9日(水)〜11日(金)、東京ビッグサイトにて、N-Plus(エヌプラス)2024(主催 エヌプラス実行委員会 / フライングカーテクノロジー実行委員会)が開催されました。当社からの講演に関しては、すでにご報告しています。
登壇報告 N-PLUS2024 「自動車が2050年にCNを実現するためには・・・ 」
その他の、サーキュラーエコノミー(CE)・リサイクルならびに、成形加工や樹脂素材の効果的活用を中心に数回に分けて報告します。まずは、セミナーの中で最も興味深かったサーキュラーエコノミーに関するパネル討議から。
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展示会概要
10月9日(水)〜11日(金)、東京ビッグサイトにて、N-Plus(エヌプラス)2024(主催 エヌプラス実行委員会 / フライングカーテクノロジー実行委員会)が開催さました。
主催者からは、総入場者数約9200人(再入場者を含めた延べで約2万人)と報告されています。
パネル討議 自動車のサーキュラーエコノミーについて将来像をどう描くのか?
“欧州のELV規制の改定案以来、サーキュラーエコノミーを取り巻く状況は大きく変化している。求められるサーキュラーエコノミーの将来像について論議”
大庭塾の大庭敏之氏がコーディネーターを務め、企業代表者4名によるサーキュラーエコノミー(CE)の将来像について論議されました。展示会を通して、最も聴講者数が多いようでした。
パネラーの方々は以下のような、まさに業界の第一線の方々でした。
パネル討議の要点
第一線で実務を進めている方々であり生々しい課題も語られました。以下に印象深いコメント・ご発言をまとめます。一見、困難さの列挙にも聞こえますが、CEへの本質対応を目指すという意味では知恵出しの原点として大きな示唆に富むものでした。
・理想は廃車の分解時に材料を混在させないことであるが、背反は解体コストUPとなる。解体しやすい構造や部品へと設計からの見直しが必要となる。
・使用量を考えた場合、自動車用樹脂の半分を占めるとも言われているポリプロピレン(PP)のリサイクルが第一のターゲットとなる。ただしバンパーからの塗膜剥離コストや内装部品に展開した際のVOCや臭いといった課題が山積している。
・電炉による鋼板は炭酸ガス放出量が1/5に低減できる。欧米では電炉鋼板も広く自動車に使用されている状況があり、日本での採用を進めたい。
・樹脂も鉄も自動車使用されている部材の大半は最終的には輸出されている。ただでさえ再生のための材料の量の確保が困難な中で憂慮すべき課題である。
・リサイクルに関する基準化・標準化・システム化が重要である。
いずれにしても個社での対応範囲を超えていることは明らかであり、産官学の連携や国主導に期待したい。
その他の討議内容やコメント、ご意見など
以下に、書き取った範囲でさらに詳しくまとめます。資料の配布もなく、討議を聞き取りながら速記した内容である点と筆者の理解・解釈である点をご理解の上ご参照ください。
現状の取り組み状況
理想は廃車の分解時に材料が混ざる前に回収 背反は解体コスト
現状すぐに解体できる部品とそうでない部品に見極め、解体できない部品は設計から見直す
主要部品 シート(座席)、ドアトリム・天井・フロア、インマニ等吸気関連 そのうちの51%が樹脂材であり、さらにその55%はポリプロピレン、ついでPETが数%との構成である。
メインはPPのリサイクル
リサイクル材を内装に展開する課題
VOC(アセトアルデヒドなど)、におい、衝撃性能低下など
モノマテリアル化 ドアトリムでは表皮および接着剤のオレフィン化
以前よりバイオ材を実用化済み ケナフ50%のシートバックボードやパッケージトレイ
内閣府SIPで梱包材リサイクル材のクルマへの適用を検討。このような活動は個社では困難で産官学連携に期待。
取り組み例 バイオマス・生分解性 軽量化のために使用しているCFRPマテリアルリサイクル
ケミカルリサイクル
①モノマー化(テールランプのアクリル)
②オレフィンを油化(油へ戻す) エネオスと協業 今年度実証プラント化
課題 ①数量の確保、回収網の確立
②品質確保のプロセス化
INPUT品質(リサイクル用部材)と
OUTPUT品質(リサイクルした樹脂材料)の合理性確保
③資源循環を前提とした車両構造
電炉材メーカー、電炉製鉄はCO2を1/5
欧米では クルマ材料の40-70%は電炉材 (日本はほぼ100%高炉新材)
原料の80%は建築物廃材(ヘビー材といわれる) Cu、Niが混ざっていることが課題
Cu含有量0.3%を許容できれば屑をそのまま利用可能 多くは鉄表面に析出する。
600-800万トンの鉄スクラップが輸出に回されていることも課題
国内に留め電炉材の自動車用途開発に取り組みたい
課題感
軽量化の対応としてきたマルチマテリアル・複合材は課題が大きい
モノマテリアル化が望ましい。
材料混在でリサイクルが難しい部品例; シート ウレタンパッド・表皮・骨格・ファスナーなど
現状すぐに解体できる部品とそうでない部品に見極め、解体できない部品は設計から見直す
ウレタンパッドをポリエステルクッション材へとの案はあるが特性的に満足できていない。
天井のガラス繊維も課題
バイオ材化が一つの答え
塗装のフィルム化、さらにそのフィルムもリサイクル
解重合エネルギーの少ないPMMAやPSはケミカルリサイクルしやすい
今後に向けて
バンパーを例にするが、
OEM各社で設計や保証が異なっているが、リサイクルをどうすべきか?
量の確保にはOEMの差が課題。OEM各社のSPEC検討が必要。
OEM×材料メーカーの協業対応が必要
塗膜と異物の除去も課題。モノマテリアル化の視点も必要。
一方で、ADAS対応のセンサー類がバンパーに組付けられるなどモノマテとは逆の方向。EUのELV規制案では(新車樹脂の25%は再生材からとし さらにその)25%を廃車から回収した樹脂由来とするとされるが、バンパー材だけの再生では量を賄えず、より広い部品でのリサイクル対応が必要。
バンパー再生材の内装部品への適用では内装材必要特性を上回る(過剰品質?)一方で、VOC対応や塗膜除去等の課題がある。
標準リサイクル材という案を問われたが、答えを持っていない。
CEとしては、エリアの差や特徴を考えてのエリア戦略が必要。
個別のコンサルティングサービスでは更なる詳細や今後の方向性などを解説いたします。
費用や内容などは、以下より、お気軽にお問合せください。