
名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)の新たなコンソーシアム活動「プラスチックリサイクル技術研究開発プロジェクト(nccPrime)」に関しては、ここのところ主要な展示会で盛んに紹介されているところです。
当社でも繰り返し紹介してきました。
展示会レポート N-PLUS 2024 ~サーキュラーエコノミーを中心に~
リサイクルの必要性が叫ばれながらも対応が難しいとされているCFRPと同じくリサイクルが極めて困難とされているASR(廃車シュレッダー処理後の残渣)を同時にリサイクル活用するという挑戦的な取り組みであり、注目しています。
展示会のご説明だけでは理解しがたい点もあったため、名古屋大学を訪問し、担当の漆山雄太特任教授にお話を伺いました。
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EU ELV指令対応、脱炭素社会のために
最新のEUのELV指令案では、新車に使用する樹脂の20%以上をリサイクル材ないしは植物由来樹脂とすることが求められています。脱炭素社会実現のために、石油由来の材料の使用量の低減も求められており、樹脂のリサイクル活用の一層の推進も求められています。
写真は、沖縄のリゾートホテル前の砂浜の一角です。きれいな砂浜も、足元を見ると、流れ着いたプラスチックごみの数々です。今回話題にしている自動車用プラスチックはほぼ海洋流出していませんが、昨今の地球温暖化の状況なども思い出し、何とも気になる状況でした。利便性の高いプラスチックの適正な循環活用の必要性を感じた瞬間です。

CFRPの自動車用途拡大を狙った名古屋大学NCC
名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)では、熱可塑性CFRP(CFRTP)を用いた量産自動車の軽量車体構造の研究開発プロジェクトが推進されました。LFT-D高速成形技術やその評価技術といった成果を上げています。自動車へのCFRP活用拡大のために、安価に大型成形品を成形する方法を開発したと理解しています。
簡単に、開発成果を振り返ります。
下図は開発された成形法L-FTD工法の説明図です。(出典:ISMA)

写真は開発工法を応用した成形品例です。
写真上 出典:ISMA
写真下 名古屋大学訪問時に当社撮影


NCCの次なる取り組みが今回ご紹介する「プラスチックリサイクル技術研究開発プロジェクト(nccPrime)」です。
nccPrime の開発構想 3R-Compositeとは
3R-compositeとは、3種のリサイクル材、すなわち、CFRPからリサイクル回収された炭素繊維(rCF)、PPなどのリサイクル熱可塑樹脂、ならびにASR由来の材料で構成された複合材です。ご説明を聞き取った内容をもとに、開発構想のプロセスを以下のようにまとめました。

それぞれのリサイクル工程により3種の原料を製造します。
次に中間材を作製します。
・リサイクル熱可塑樹脂をマトリックスとしたCFPRテープ
・リサイクル熱可塑樹脂に粉砕ASRを強化材として混練した熱可塑ペレット
成形プロセスは射出成形工程とCFRPテープ積層です。
・2色成形法でASR強化熱可塑樹脂で「あんこ」部分を成形
次いでその外周をリサイクル熱可塑樹脂で覆う。
・強度・剛性の向上を狙い、必要部位に必要な厚さで熱可塑CFRPテープを積層
これにより、以下のイラストに示す複合成形品を得ます。

すべてがリサイクル樹脂で構成した成形品となります。また、強度・剛性上の必要部位のみをCFRPで補強するため、安価かつ軽量な成形品が期待されます。
先行検討の試験片
1月22日~24日に東京ビックサイトで開催されたオートモーティブワールド2025(主催:RX Japan株式会社)において、3R-Composite試験片が展示されていました。
粉砕ASR強化PPを内層に、リサイクルPPを外層とした2色成形クーポン試験片です。
断面を見ると、ASR由来の各種・各サイズの金属異物が観察されます。もっとも大きいものはワイヤーハーネスの銅線の束です。3点曲げ試験後の試験片を見ますと、それら異物は破壊起点とはなっていないようです。

ASR由来の異物として許容される
・サイズ
・種類
・元素
などは興味深い点です。
今後の研究の主要課題のひとつでしょう。
参画メンバー募集中
NCCでは
〇 NCC次世代複合材研究会
および
〇 本件コンソーシアム
への参画メンバーを募集しています。
以下がご連絡先となります。
〒464-8603
名古屋市千種区不老町
名古屋大学 (NCC事務局)
TEL:052(789)3282
http://ncc.engg.nagoya-u.ac.jp/
Email:nccjapan@nuae.nagoya-u.ac.jp
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