【展示会レポート】オートモーティブワールド@名古屋 講演;空飛ぶクルマ

10月22日、ポートメッセなごやで開催された【名古屋】オートモティブ・ワールド(主催:リード エグジビション ジャパン株式会社)に参加しました。

今回の展示会参加の最大の目的は この講演の聴講でした。

講演聴講
「世界におけるeVTOL市場と日本での商流について」

登壇中の中井さん

eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)、すなわち、電動垂直離着陸機の日本のスタートアップ設立者の方の講演です。いまだ東大博士課程に在籍中、28歳の中井佑さんです。

2018年にテトラ・アビエーション株式会社を設立しています。(動画はこちら) バイト込みで30人とこじんまりとした会社です。今年2月に、ボーイング主催のGo FlyでDisrupter Prizeを受賞、賞金10万ドルを得ています。

1人乗り用のeVTOLにターゲットを絞って開発してます。最初のターゲットは、趣味向けです。アメリカではライトプレーンとしてこの市場が確立しており、免許保有者も2万人ということで十分ビジネスになるそうです。

次なる目標は極限環境用途で、洋上油田や奥地の送電設備の保守点検を想定していました。
当初は一台5000万円想定、1000台量産で1000万円が目途です。ヘリコプターは、二人乗り3000万円、4人乗り6000万円でリーズナブルのプライスと想定してました。

安全に関しては、ハード・ソフトともに冗長設計とするそうで、特にモータはいずれの会社でも8個ないし36個搭載してます。従来とは全く設計思想が異なりそうです。交通管制的にも当初から相互の存在確認通信などは標準で装備され、自動車よりは格段に衝突等の危険性は減るものと想像しています。

機体の軽量化のために当然のようにCFRPが多用されるでしょう。搭載するバッテリも高性能が求められます。これらの点はEVの方向性と一致するところでしょう。

ビジネス規模

     航空機全体  超小型機

2017年 1400兆円   7兆円

2030年 2600兆円   32兆円

2040年 4100兆円  180兆円

空の移動革新に向けてのロードマップ

経産省から、空の移動革新に向けてのロードマップが出されています。
国内の各開発会社はこれを参考にしています。というよりも、スタートアップにもヒアリングしながらのロードマップのようです。

国内外、他社動向

日本国内では他に、トヨタの若手有志が設立した株式会社SkyDriveもそれなりの規模で開発を進めています。この夏に試験飛行を始めてます。


トヨタ自動車自身は この1月、Joby Aviationに460億円の出資と技術提携を始めました。5人乗り、航続距離200~300kmが対象で、テトラの一人乗りよりは現実的な輸送手段として開発しています。

ドイツ発のLiliumはテンセントと連携してます、Torayもスポンサーです。

講演資料の撮影を許可されましたので、掲載します。(内容は公知の一般的な情報です。同社はスポンサーを求めており、その意味でも存在をPRしたいものと思いました)
各社の状況や位置づけ等がわかりやすく、参考になる情報です。