中小企業の特許戦略①超微細無機添加物【綿状ガラス繊維】の混練技術/ナノダックス株式会社

1. 本レポートの背景

技術コンサルタントとして広く情報を集めている中で、中小企業の独自技術に触れたり、ご紹介を受けることがあります。
特に最近の傾向として、自社出願特許を核にした戦略が目につくように感じています。

ここでは特許戦略に取り組む企業とその特許の概要をご紹介します。(一部、特許申請中技術を含む)

なお、月刊「プラスチックス」誌23年7月号(p39-45)に、これらのレポートをまとめ、より詳しく掲載いたしましたので、併せてご参照ください。

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2.  中小企業のオリジナル特許技術 ご紹介①

ナノダックス株式会社の社長 佐藤勲昌様からのご紹介に関してレポートします。
特許技術;超微細無機添加物【綿状ガラス繊維】の混練技術

(1)ナノダックス株式会社

①SDGsにみられる持続可能な社会を目指し
2015年9月の国際サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は広く世間に認知され、この国際目標を支持し取組を推進している企業が多数ある。ナノダックス株式会社は企業活動と並行して、内閣府認証NPO法人『エコです環境応援団』のメンバーとして、主に環境保全を図る活動を推進してきた。それらの背景から、産業廃棄物として処理されるグラスウールに着目し、我々が開発した熱可塑性樹脂にグラスウールを混錬する技術によるアップサイクル製品作りを進めている。

②アップサイクルとは
価値がなくなった廃棄物や不要品を素材にして、高付加価値なものに作り替える考え方。
▶ リサイクル  :一度“素材”に戻して再生利用する。
▶ アップサイクル:素材を付加価値ある高機能化製品として再生させる。

(2)特許技術概要

グラスウール【Glass Wool(以降GW)】(写真)混錬技術

高分子の世界では、強化フィラーとしてガラスファイバー【Glass Fiber(以降GF)】 (ガラス長繊維)(写真)が一般的である。

嵩比重を見るとGFが約1,000kg/m3に対しGWは20~30kg/m3と極めて嵩高で、熱可塑性樹脂への添加が極めて困難だった。
当社はGWをマトリックス樹脂の溶融温度に自動で同期させて、加熱押圧しながらコンパウンドする「加熱式フィーダーシステム」を開発することでこの問題を解決し混錬可能な新フィラーとして、国内外で特許を有している。
多くの特徴の中から、ここでは3点を紹介する。


①強度や剛性の向上
GF同様、強度や剛性の向上が得られる反面、脆性が高くなる事で衝撃に弱くなる特性を有する。GFと比較した際、強度や剛性は及ばない。これはアスペクト比(繊維長/繊維径)が小さいためと推測される。脆性についてはGFと比較し改善される傾向にある。

②生産性向上【HDT(熱変形温度)の上昇】
PP樹脂の様な結晶性樹脂に対し、GW(無機物)を数%充填することで、HDTが急上昇する。高HDT材質は、部品剛性が離型抵抗に打勝つまでに必要な冷却時間が短くなる。特に、背の高いボスが存在する場合、肉抜きピンは熱く蓄熱しており、ピン周りの樹脂冷却に時間を要する。HDTの向上は顕著に冷却時間に現れ易い。

③表面平滑性改善 
GWをコンパウンドしたペレットを使用し、PA66及びPPプレートを射出成形し、顕微鏡による表面観察を行った。GF添加により成形品の表面平滑性は著しく悪化するが、GWの場合、樹脂単体とほぼ同等の平滑性が得られる。PPにおいても同様な結果が得られている。

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