トヨタのEV戦略の考察 ~販売トレンドから~

世界で最も注目を集めている自動車メーカ トヨタ自動車の動向を注視するとともに独自の視点で解説しています。特に日本国内では発信されない情報や着眼ポイントに関して、同社並びに国内外グローバル企業勤務経験も踏まえての視点で解説しています。基本的にはトヨタ発表やその報道メディアの論調とは異なる、「辛口解説」となってます。皆様がビジネス戦略検討をする際に、多面的視点でリスクヘッジをかける、あるいは他に無い視点を醸成いただくことを狙っています。今回は、トヨタ自動車製(含むLEXUSブランド)電気自動車のグローバル販売戦略を考察しました。

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日本でのBEV(電気自動車)販売動向

まずは、日本でのBEV(電気自動車)販売動向をみてみましょう。次のグラフは過去1年半の月間販売台数の変化です。橙色の折れ線は日系OEM生産のBEV台数です。台数が漸減しています。今年に入ってからは、月当たり1000台にも達していません。一方で輸入BEV台数は、対称的にわずかに増加傾向が見て取れます。なお、3か月ごとにピークがあるのは、TESLAの台数発表が3か月ごとのためです。逆に言えばTESLAの台数が大きいことを示唆しています。

日本でのBEV販売攻勢を強めているBYDやHyundaiの台数動向も気になるところです。輸入BEVの内訳は以下となっています。なお、このグラフはBYD、Hyundai、TESLA(輸入車組合の分類上は組合加盟会社以外のその他、未加入の主要メーカはTESLAのみ)のみをプロットしました。欧州系メーカ(メルセデスベンツやVWなど)はプロットしていません。

BYD、Hyundaiの詳細は以下もご参照ください。

2024年上半期 【HYUNDAI】【BYD】 EV 日本での販売台数

トヨタ自動車のBEV(電気自動車)販売動向

こちらは、過去2年半の動向を整理しました。
【日本国内 月間販売台数】
まずは、日本国内でのBEV月間販売台数の推移です。わずかな増加傾向が見て取れます。 ただし、台数としては200-300台程度と、ごくごくわずかな台数です。

トヨタは車種数もまだまだ限定的です。このグラフに含まれる車は以下となります。
TOYOTAブランド; bZ4X、C+pod
LEXUSブランド; UX300e、RZ300e&450e

【海外 月間販売台数】

海外での販売台数は大幅に増加しています。2年半で約10倍、約14,000台です。年台数に換算すると、15万台程度まで急増しており、ビジネスとしては一定の意味ある台数となっています。

このグラフに含まれる車は以下と推定しています。
TOYOTAブランド; bZ4X、bZ3
LEXUSブランド; UX300e、RZ300e&450e

国内専用の超小型BEV C+podは含まれず、一方で中国にてBYDとの合弁会社で開発しbZ3が含まれています。

トヨタのグローバルBEV販売戦略考察

中国合弁での販売BEV以外は、日本での製造です。すなわち、日本で製造し、その大半を輸出しています。前述のように、日本でのBEVはまだまだ受け入れられていないため、BEV競争激化の海外に振り分けている、シェア確保を優先していると考えられます。現在開発が進んでいるBEVもまずは海外投入でしょう。
以下は、向こう1-2年で投入が推察されるBEVです。

中国は、他地域とは切り分けた戦略と考えられます。まずは、BEVへの市場要求が強いことから、急減が懸念されるシェア確保を目指して、BEVの玉投入が必要です。一汽トヨタと広汽トヨタからも日々、「とにかく売る玉を送れ」と要求されていることでしょう。中国専用のBEV bZ3は、BYDとの合弁のBEV開発会社でまさに緊急開発したBEVです。

トヨタのEV bZ3 中国で公表

(写真は中华人民共和国工业和信息化部サイトから)


bZ3はトヨタの中国市場で大きな役割を果たしています。

中国の自動車販売に関する民間のサイト「车主之家」のデータを元に集計しますと2024年1月から2024年6月までのトヨタのBEV販売台数は、bZ3が25092台(一汽丰田)、bZ4Xはわずかに126台(广汽丰田 113台、一汽丰田 13台)と、大半が現地開発&製造のbZ3です。

この4月の北京モータショーではbZ3の派生車種2車種bZ3C・bZ3Xが紹介されています。

もう一点、注目すべき点は、アメリカとのデカップリング対応で、中国国内クローズのBEVとそれ以外のグローバルBEVは明確に区別される印象を受けています。中国市場向けのクルマは中国国内での企画・設計・開発・製造です。状況によっては東南アジアへの輸出はありかもしれませんが、日本や欧州、ましてやアメリカへは輸出されないと推察しています。中国向けBEVには、中国開発の自動運転の搭載も想定されています。そのベースは、ファーウェイ等中国現地協力先との協業も考えられます。

<参考> トヨタの日本販売BEV

当社の調査・取材からのご紹介です。

C+pod(しーぽっど)

2020年に発売した2人乗り、超小型モビリティに分類されるシティコミューターのようなBEVです。最高時速60km、走行距離150km(WLTC) 価格約158万円です。ことし1月に販売終了がアナウンスされました。推計販売台数 数千台と推定しています。C+podは超小型モビリティに分類される二人乗り、で間もなく生産終了となります。なお、C+podはフル樹脂ボディ車ということで、当社での詳細に調査を進めてきました。

小型BEV トヨタ C+pod 試乗&調査

超小型BEV トヨタ自動車 C+pod の樹脂外板 実車で調査

bZ4X

2022年5月に発売したトヨタ初の本格的BEVです。現在のグローバル販売主力BEVです。2回試乗しましたが、BEVの嬉しさが生かされていません。

試乗まとめは以下をご参照ください。(かなりの辛口評価です)
TOYOTA 電気自動車(EV)bZ4X 試乗まとめ
YouTube動画はこちらから。
TOYOTA 電気自動車(EV)bZ4X YouTubeで公開中

RZ450e

ミッドランドスクエアでの展示車です。まだ試乗等の調査は未実施です。

PHEVモデルもあります。

BEVモデルとPHEVモデルでは、フロントバンパーの開口部意匠が異なっています。
PHEVモデルは開口ですが、BEVモデルは開口はなく、ピアノブラックのパネルです。



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