【独自見解】トヨタのEV戦略の考察 ~開発体制から~

前回のグローバル販売戦略の考察に続き、今回は、トヨタ自動車の電気自動車BEVのグローバル開発体制を読み解きます。

*世界で最も注目を集めている自動車メーカ トヨタ自動車の動向を注視するとともに独自の視点で解説しています。特に日本国内では発信されない情報や着眼ポイントに関して、同社並びに国内外グローバル企業勤務経験も踏まえての視点で解説しています。基本的にはトヨタ発表やその報道メディアの論調とは異なる、「辛口解説」となってます。皆様がビジネス戦略検討をする際に、多面的視点でリスクヘッジをかける、あるいは他に無い視点を醸成いただくことを狙っています。

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トヨタのグローバルR&D体制の復習

先に、トヨタのグローバルの車両開発体制をレポートしました。
トヨタの凄いは「グローバル研究開発体制」

BEVのグローバル体制検討の前に復習してみましょう。

さて、この調査のきっかけは、昨年12月のベトナムでのBEV普及状況調査でした。
ベトナム 電気自動車(BEV)現地調査 トヨタのICE大成功

ベトナムではトヨタ車だらけ、しかも新興国向けに開発したIMVが多数を占めていました。
下の写真はホーチミン広場前ロータリーでの撮影です。上が、IMV5のInnova、下がIMV4のFortunerです。

タイ拠点での現地企画・設計・生産が大成功という状況でした。
タイの拠点化大成功に先立つこと約10年、アメリカでも製品企画・設計・生産の現地化が功を奏して大成功です。

トヨタがウエブサイトで公開しているグローバル体制では、中国に関しては製品企画を現地化が明記されていませんが、実態としてはタイ・アメリカと同様に現地向け製品企画も含めていると捉えています。よって、日本、タイ、アメリカ、中国の4拠点での製品企画・設計体制が確立しています。もちろん、そのまま現地工場で生産し販売へと流れていきます。

トヨタのBEV(電気自動車)のグローバルR&D体制は?

結論から言って、現状は、中核開発拠点2か所+現地化開発拠点2か所と想定します。あえて、「現状は」と記しましたが、状況によってドラスティックに体制は変化します。まさに、マルチパスウェイ対応です。

さらにトヨタらしいところは、2拠点ともに、
「チーフエンジニア制」
「大部屋」
で運営しています。トヨタ流の短期開発手法です。
これの詳細や、そもそものトヨタのDNAに関しては、9月開催で企画中のセミナーで解説を予定しています。
聴講をお考えの方は、以下の「お問合せ」フォームからご連絡ください。メールにてセミナーのご案内をお送りします。
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トヨタのBEV開発の中核の2拠点

中核2拠点とは、ずばり、日本と中国です。
日本では、「BEVファクトリー」が中国を除くグローバルBEVの商品化研究・BEV専用プラットフォーム開発・電池開発および製品企画と車両設計を担当します。すなわち先行的な未来技術開発を除いた、数年以内の販売車両のすべてのR&Dを推進します。 写真は、昨年のJapan Mobility Show開幕のトップを飾ったトヨタの記者発表です。佐藤社長がBEVファクトリーで開発するであろうトヨタブランドのBEVコンセプトカーを力強くアピールしています。

同じくJapan Mobility Showで撮影した写真を3枚紹介します。LEXUSブースでの撮影ですが、これらの開発もBEVファクトリー中心と考えられます。
写真1: 次世代パフォーマンス型の電池のコンセプトモックです。高さが低く、車高の低いスポーティな車両が実現できます。航続距離は1000kmオーバーとの説明でした。

写真1

写真2: LF-ZC 2026年導入予定の次世代BEVコンセプト 次世代BEVプラットフォーム+新ソフトウエアプラットフォーム「Arene OS」を搭載

写真2: LF-ZC

写真3: LF-ZL  BEVフラッグシップコンセプトモデル

写真3: LF-ZL

他方、中国では、中国クローズド車両に関する製品企画型車両設計までを進めます。この拠点は2か所、「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社」および「トヨタ知能電動車研究開発センター(IEM by TOYOTA)」です。近々の発売車両に関する車両設計がBYD TOYOTA合弁会社、その少し先、人工知能搭載自走運転車両はIEM側と考えています。ただ、IEMもBYD合弁とは異なる目線での市販車開発も並行するものと推察しています。おそらくこの辺りは明確ではなく、状況を見ながら体制を整える、あるいは大胆な変更があることでしょう。
中核2拠点は、開発技術の相互供与の可能性はあるものの、基本は独立開発です。ある種のデカップリング対応です。

現地化開発拠点2か所

BEVの骨格的技術はBEVファクトリーとのリエゾン、あるいは技術移管を受けますが、現地向け開発は分担するものと考えられます。現地化開発の2拠点とは、製品企画と車両設計は現地拠点化が確立しているタイとアメリカです。
タイでは、Japan Mobility Showで紹介されたIMV0(ゼロ)の現地化開発が想定されます。

昨年6月、トヨタはTMMKにて2025年から3列シートSUVのBEVを生産すると発表しています。また今年4月にはTMMIにて2026年からTMMK生産とは異なるモデルの3列シートSUVのBEV生産を発表しています。これら、および関連する車載バッテリー関連の開発は、トヨタの北米開発拠点となります。

従来の開発拠点とBEV開発拠点をまとめたグローバル開発体制は以下のように推察しています。

先行的な未来技術開発

トヨタ自動車本社、東富士の未来創世センター、豊田中央研究所、Wooven by Toyota、IEM by Toyotaの5拠点が自動運転・人工知能も含めての先進的未来技術開発を担当します。その役割等はセミナー等で解説します。



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