トヨタ生産方式・カイゼン 7つのムダとは? ①つくり過ぎのムダ
カイゼンの糸口として7つのムダの視点で観察します。
7つの着眼点をさかのぼるとトヨタ生産方式の骨子に行き着きます。
トヨタ生産方式の導入や、さらには継続のむずかしさに関してはしばしば解説してきているところです。
7つのムダの実践においても、本来的にはトヨタ生産方式の理解が必要です。
そのような背景を念頭に置きながら、7つのムダを見ていきます。
今回は 「つくり過ぎのムダ」です。
大野耐一さん著の「トヨタ生産方式」の巻末には、付録の主要用語辞典がありますが、その中にも『ムダを意識し撲滅する』としてこの7つのムダを解説しています。
「トヨタ生産方式」by大野耐一 のご紹介
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つくり過ぎることはよくない、無駄である、感性的にはよく理解できるところです。
では、作りすぎるとは何でしょうか?
3人家族、3人分の夕食を作り終えていたときに、長男の大学生からの電話、「実験のトラブルで2日ほど帰れない。」さて、一人分の夕食は無駄でしょうか?
「まあ、二日後でも火を通せば大丈夫、無駄じゃないよ。」その通りです。
日常生活ではこれを無駄とは考えませんね。
ところが、トヨタ生産方式の視点ですと、無駄とみなします。
本来保管すべき必要の無い食事の保管場所としての「冷蔵庫のスペース」と「冷蔵のためのエネルギ」が無駄です。
もちろん、トヨタ生産方式を日常生活に持ち込んではいけません。ギスギスします。
ここではあくまでも軽い話題として事例にしました。
さて、ある部品メーカーでのお話。
新規仕入先から特注仕様で2000個受注した。発注者の雰囲気では追加発注が十分見込めたので、まとめ生産で4000個製造した。しかし、追加発注は来なかった。
これはつくり過ぎのムダになってますね。
日々の生産で、加工機に空きができたので、稼働可能な分、加工を進めた。
さてこれは無駄でしょうか?
トヨタ生産方式の視点では、つくり過ぎのムダと判断します。
万が一、設計変更が入ると加工品が使用できなくなります。
さらには、前述の夕食の無駄と同様に、加工品の保管スペースの確保や管理が必要になります。
さて、そもそも何個生産すべきなのでしょうか?
理想的なトヨタ生産方式で製造している場合、後工程引き取りですので、引き取られた分だけ素直に生産すれば作りすぎにはなりません。
「理想」を実現できないのが、日常の日々です。
観念としてつくり過ぎの無駄を理解しても、実践できないことに気づきます。
作るべき量の算出が必要です。
どのように生産数が指示されるのか?
営業の受注数はどのように生産現場に指示されるのか?
一方で指示を受けてから出荷までにはどの程度の期間が必要か?
途中の段階での不良等はどの程度か?
これらがわからないと適正生産数もわかりません。
概念がわかっても実践できない・・・
専門家の助言が必要になるかもしれません。
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