成形品の反り変形
反り変形には大変に苦しみました。そのおかげで、反り変形に関しては、それなりの専門家となってます。学会誌に反り変形の解説を書いたほどです。
「反り変形現象の抑止技術」 成形加工、20、724(2008)
反り変形は射出成形品の重大な不良です。自動車部品、家電やOA部品も その多くは、周辺部品への組付け、勘合等の構造であり、正規寸法からずれている場合は、見栄え問題、さらには組付け・締結不良となります。無理に締結すると、場合によっては数年後に応力クラックを生じたりもします。
反りの原因は
・成形加工時の条件(主として温度)
・材料特性(主として収縮率の異方性)
です。このふたつは相互に影響しています。
また、このふたつが作用する「場」が成形品形状(それをつくるための金型仕様)となります。すなわち形状依存性があります。
これらの影響状況を思い浮かべることができれば、適確な対策検討ができます。
昨今は、CAEの精度が飛躍的に上がってますし、反り要因への寄与度分析などの機能も充実しているので活用する価値は高いと言えましょう。もちろん、それらの結果を妄信するのではなく、原理原則の視点での妥当性チェックが必要です。
成形品を見て、成形現場でしばし成形状況を観察すると、おおよその原因を想定することができます。ただし、対策できるとは限りません。むしろ、多くのケースではいろいろな制約があり、手の打ちようがないという残念な状況となります。
当たり前の話に帰結してしまいましたが、製品設計・金型設計・成形条件の検討が大切です。
成形変形でお困りでしたら、ぜひ、ご連絡いただければと思います。